11.安全衛生
2019年10月23日 水曜日
災害時の出勤・休業手当
神奈川県横浜市中区の馬車道にある社会保険労務士法人ユナイテッドブレインズです。
今年も⼤型台風が⽇本各地を襲いました。
台風に伴う暴風や集中豪⾬により会社施設に⽀障が⽣じたり,公共交通機関が運休となりました。
このような場合、会社としては従業員の出社や帰宅について、どのような判断をすべきでしょうか?
■会社の安全配慮義務
危険があるときに出勤を命じたり、危険な状況の中、業務に従事するよう命じたりすることは、会社の安全配慮義務に違反する可能性があります。
そのため、例えば危険な状況で作業し事故になった場合、労災保険は適用されますが、労災保険で補償されなかった部分については損害賠償を請求される可能性もあります。
安全配慮義務・・労働契約法5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命を、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」
■労働者からの就労拒絶
会社が安全配慮義務の履行をせず、労務の履行を求める場合、労働者側で就労拒絶ができるでしょうか?
この場合、会社が具体的に取るべき措置の内容を特定することが難しいこともあり、一般的には肯定されませんが、状況によっては、就労拒絶が認められる場合もあります。
■年次有給休暇の取扱い
地震・台風などの天災で従業員が休業した場合も原則は無給なので、年次有給休暇の取得をする社員も出てきます。
有給休暇は労働者の請求した時季の労働日に与えるものなので、危険性が高く、労働契約上の義務が生じないようなケースの場合、労働義務が無い日と認められ、理屈上、年次有給休暇は行使できない場合もあります。
■休業手当
台風に伴う暴風⾬や災害によって,会社の事業場の施設・設備が直接的な被害を受けた等の理由で、不可抗⼒により休業せざるを得ない場合は,賃⾦はもちろん,労基法26条の休業⼿当(平均賃⾦の100分の60以上)も⽀払う必要はありません。
これに対し,不可抗⼒な事情が無いものの会社の判断で休業とする場合は,休業⼿当を⽀払う必要があります。
休業手当・・使⽤者の責めに帰すべき事由により休業した場合に発生
(不可抗力の例)
①地震や台風に伴う災害によって、会社の事業場の施設・設備が直接的な被害を受け従業員を休業させる場合
②地震や台風に伴う災害によって、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、 取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕⼊、製品の納⼊等が不可能となった場合
③地震や台風に伴う災害によって,停電で業務を⾏うことが出来ない場合
■実務的な対応例として下記が考えられます。
1.地震や台風により不可効力により休業する場合以外は、会社の判断による休業はしないとするケース
<労働者への通達>
①会社は休業しないが、各自の判断で安全に配慮して出社の有無や出社方法を判断すること。
②欠勤した場合は無給であること。
③台風に伴う交通事情等により欠勤したとしても、懲戒、人事評価上のペナルティは無いこと。
④有給休暇の消化は自由であること。
2.地震や台風により休業が不可抗⼒な状況となる場合はもちろん,それ以外の場合も会社の判断で休業にするケース
この場合、休業中の期間の賃⾦や⼿当を保障します。
こうすることで,従業員は台風による出社の危険に晒されず,出社の判断に迷うこともなく、経済的にも⼿当が保障され安⼼して休業することが可能です。
従業員にとっては最も理想的な対応⽅法です。
社会保険労務士法人 ユナイテッドブレインズ
営業時間:月曜日~金曜日 9:00~17:00
(事前にご予約いただければ業務時間外の対応も可能です)
休業日: 土日祝
TEL 045-640-4757
FAX 045-227-5277
〒231-0011
神奈川県横浜市中区太田町4-55 横浜馬車道ビル3階
メールからのお問い合わせは
オフィシャルサイト
https://www.u-brains-sr.com/
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|2013年7月1日 月曜日
健康診断後の再検査
横浜馬車道の社会保険労務士法人ユナイテッドブレインズです。
健康診断の結果、再検査となった場合、会社としてどのように対応するのか決めてますか?
決めてない場合は、下記を参考にしてルールを定めましょう。
人事担当者:
定期健康診断の結果、再検査の人が出てしまいました。再検査の費用は会社負担ですか?
社会保険労務士:
安全衛生法で会社の義務と定められている定期健康診断と違い、再検査については法律の定めがありませんので、①再検査にかかる費用をどちらが負担するか、②再検査の日を有給とするかについては、就業規則の定めや労使間の協議に従うことになります。
人事担当者:
うちの就業規則には再検査の定めはないし、労使間で協議したこともありません。
社会保険労務士:
では、ちょうどよい機会なので、健康診断後の再検査について、まずは通達を出しましょう。
内容は、『再検査にかかる費用は、自己負担、再検査で休む場合は、年次有給休暇を取得して下さい。』などとのせるとよいでしょう。
御社の場合、法改正の場合は、法改正の都度、就業規則を改定、法改正以外の場合は、先に通達を出して、3月にまとめて改定作業となっていますから、来年3月に就業規則に追加しましょう。
人事担当者:
再検査の費用は自己負担と言ったら、めんどくさいから受けないと言い出した従業員についてはどうしたらよいですか?
社会保険労務士:
「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」というものあります。
指針は、こう言っています。
「再検査又は精密検査を行う必要がある労働者に対して、当該再検査又は精密検査の受診を勧奨するとともに、意見を聞く医師等に当該検査の結果を提出するよう働きかけることが適当である。」
なので、健康診断の結果、再検査、精密検査が必要となった従業員に対しは、受診するよう働きかけて下さい。
ところで、何の検査で異常所見が出たのですか?
人事担当者:
それが、血圧、血糖検査とかいろいろです。なのに再検査を受けないと言い出したので心配になったのです。
社会保険労務士:
『二次健康診断等給付』って聞いたことがありますか?
脳血管や心臓の状態を把握するための二次健康診断と脳・心臓疾患を予防するための保健指導を、受診者の負担なく労災保険の給付で受けられる制度なんです。
一次健康診断で次のすべての検査項目について異常の所見があると診断された場合に受けられます。
①血圧検査
②血中脂質検査
③血糖検査
④BMI(肥満度)の測定
人事担当者:
あ、まさに①から④までの検査で所見ありになってますね。
再検査の費用はかからないから、受診して下さいって勧めてみます。
ところで、これは労災給付なんですよね?保険を使うことによって、労災保険料が上がりませんか?
社会保険労務士:
安心してください。二次健康診断等給付は、保険料が上がったり下がったりする仕組みのメリット制に影響しないため、給付を受けたからといって保険料が上がることはありません。
★手続き方法
二次健康診断等給付を受けようとする労働者の方は、①二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に必要事項を記入し、②事業主の証明を受け、③一次健康診断の結果を証明することができる書類(一次健康診断の結果の写しなど)を添付して、当該請求書を健診給付病院等を経由して所轄の都道府県労働局長に提出してください。
★注意点
1.原則として一次健康診断の受診日から3ヶ月以内に請求を行う必要があります。
2.年度(4月1日から翌年3月31日まで)に1回のみの給付となります。
2.都道府県労働局長の指定を受けた医療機関等でなければ受けられません。
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